2016.03.31
英国チャリティーショップ大会2015を視察してきました!
国内に10,000を超えるチャリティーショップがあり、チャリティーショップが市民の日常にすっかり溶け込んでいる英国。
そこでチャリティーショップを支えるために活動しているのが、15年前に作られた「英国チャリティー小売業協会
(Charity Retail Association)」(以下、CRA)です。CRAで年に一度開催される大会に、日本から初めて参加した様子をお伝えします。
CRAの役割と大会の目的
CRAはチャリティーショップ業界が成果を上げるために、業界を支え、推進させることを目的に活動をしています。
そのために、①チャリティーショップに関する法律や規制の監視・働きかけ ②チャリティーショップ全体の広報
③関連する最新情報や専門知識の発信 ④優れた取り組みの推進 ⑤関連機関との連携、などを行っています。
年に一度のチャリティーショプ大会では、最新情報を学ぶ講義、優れた取り組みの表彰式、関連業者による展示会が開かれ、
チャリティーショップに関する情報・人材が英国中、さらには国を越えて集結します。
2015年度は6月29日から30日まで、英国スタッフォードシャー州のキール大学で開催されました。約350の団体が参加し、
全体会が3コマ、分科会が4コマ30クラス、展示会の参加企業・団体は47でした。一日目の夜には表彰式と懇親会があり、
英国のチャリティーショップのエッセンスや、CRAの役割を目の当たりにできた二日間でした。
全体会・分科会の充実
全体会や分科会の講師は外分野の専門家や学者のほか、チャリティーショップを運営する協会会員が務め、そのクオリティーは大変高く、
チャリティーショップ運営団体の経営者にとっては貴重な機会になっていました。講義時間はコンパクトで、休憩や食事の時間がゆったりと取られているため、
他団体や企業等と十分に交流できるようになっていました。参加者の関心の高いテーマは、「インターネット販売」「ギフトエイド(※)」「SNS」などで、
分科会では質問が多く飛び交い、一方的に講義を受けているというよりは、積極的に意見交換をする場となっていました。
※ギフトエイド:個人寄付に対する税制優遇制度で、寄付者のギフトエイド利用宣誓に基づいて、チャリティー団体は個人寄付に関わる基本税率(現在は20%)に相当する還付を税務当局から受け取ることができる。
大規模な展示会
日本からの視察メンバーが特に感銘を受けたのがこの展示会の規模でした。チャリティーをビジネスとしてサポートする47社が出展し、参加者はハードとソフトの両面での提案と最新情報を得ることができます。
出展分野は販売管理、店舗運営、ネットショップ運営、会計・決済サービス、リサイクルなど多岐にわたり、会場のあちこちで熱心に相談・説明する様子が見られました。
優れた取り組みの共有~表彰式
CRAの役割の一つ、優れた取り組みの推進のために、盛大な表彰式が催されていました。「最も利益をあげた店舗賞」、「最も価値ある寄付品賞」、「最優秀ボランティア賞」など十数種の賞が表彰され、
表彰のたびに大変盛り上がっていました。当日の参加者投票によって決まる参加型の賞もあります。「最優秀ウィンドウディスプレイ賞」「最優秀インテリア賞」は投票ブースに候補写真がずらりと並び、
見ているだけで刺激を受けました。このような形で良い事例を共有できる仕組みは、楽しい雰囲気を生み、業界の一体感を増すのに有効な手法だと思いました。
英国視察を振り返って
5日間の英国視察には、日本チャリティーショップ・ネットワークから4名が参加することができました。これから日本でもチャリティーショップのネットワークを設立する準備段階で、
ともにその理想形を目の当たりにすることができたのは、大変意義深いことであったと感じています。今回の視察にあたっては、地球環境基金から助成をいただくとともに、店舗と
物流センターの視察には日本及び現地のOxfamの皆さんに、大会視察にはCRAの皆さんに多大なご協力をいただきました。改めてここでお礼を申し上げます。
*写真提供/CRA
(レポーター/中部リサイクル運動市民の会 庄司里美)